背中のアウトラインを作るうえで、重要になるのが背中の広がりを作る広背筋と大円筋です。
これらの筋肉が発達すれば、逆三角形の体を作ることができます。
あなたが、広背筋と大円筋を筋肥大させるために行なっている種目は何ですか?
多くの方は懸垂やラットプルダウンと答えるのではないでしょうか?
では、懸垂とラットプルダウンではどっちが筋肥大に効果的なのでしょうか?
結論としては、懸垂の方が筋肥大には効果的であると考えています。
ですが、懸垂、ラットプルダウンそれぞれにメリット、デメリットがありますので、引き続き細かく解説していきたいと思います。
Contents
懸垂、ラットプルダウンの動作の違い
まずは、懸垂とラットプルダウンの違いについて説明していきます。
懸垂はバーにぶらさがって自分の体をあげていきます。この動作では体が宙に浮いてフラフラしますので、多くの筋肉が体を安定させるために働きます。
また、体が固定されていない分、体を自由に動かせますので、体の持ち上げ方にバリエーションを作ることができます。
一方で、ラットプルダウンは最初から体が固定されていますので、バーを引きつけるだけです。
ラットプルダウンの方が動作は簡単な分、使われる筋肉は少なくなります。
懸垂で固定されるのは、両手の2点、ラットプルダウンは両手、両足、お尻の5点が固定されます。
懸垂、ラットプルダウンで鍛えられる筋肉
- 広背筋
- 僧帽筋
- 三角筋後部
- 脊柱起立筋群
- 菱形筋
- 腹直筋
基本的には、鍛えられる筋肉はほぼ同じと考えて良いです。
ただし、懸垂とラットプルダウンでは動員されるモーターユニット(1本の神経が支配する筋繊維の束)の動員が異なりますし、体幹筋群の稼働量も懸垂の方が大きいといわれています。
懸垂のメリット・デメリット
筋繊維の動員が多い
「懸垂、ラットプルダウンの動作の違い」でも述べたように懸垂は、両手の2点しか体が固定されていない分、体が不安定になるため、モーターユニット(1本の神経が支配する筋繊維の束)の動員が多くなります。
負荷が大きい
これはメリットでもデメリットでもありますが、(前提として、懸垂経験があまり無い人や、筋トレ歴が浅い人について)懸垂はラットプルダウンと比べて負荷が大きいです。
なぜなら、自分の体重を持ち上げるのにかなりの力が必要になるからです。
体重60kg程度の筋トレ未経験の男性なら、ラットプルダウンを30〜40kgを10回で始めるのが一般的だとおもいますが、そこをいきなり60kg10回とはいけないので、なかなかハードルは高くなります。
自重トレーニングはウェイトトレーニングよりも、筋肥大させるのが難しいと思われがちですが、懸垂に関しては、そもそも負荷が大きいので筋肥大には有効な種目です。
自宅でもできる
懸垂マシンや懸垂用のバーがあれば、自宅に設置してすぐに懸垂を始めることができます。
ストレッチショートニングサイクル(SSC)を有効に使える
「ストレッチショートニングサイクル(SSC)」とは、ウェイトトレーニングにおいて、ストレッチさせたらすぐに切り返すことをいいます。
懸垂のボトムポジションで、ストレッチさせたらすぐに切り返して挙げることで、通常よりも強いストレッチ刺激をあたえることができます。
イメージとしては、ボトムポジション(腕を伸ばし切ったポジション)で体をバウンドさせるようなイメージです。
ラットプルダウンのメリット・デメリット
負荷設定を細かくできる
ラットプルダウンの良い所は負荷設定を細かくできるという点です。
特に、一般的なプレートスタック式なら、ピンの抜き差しだけで重量を変えられるのでとても便利ですよね。
負荷設定を細かく変えられるということは、初心者や女性は軽い重量でトレーニングできますし、中級者でもトレーニングの後半で軽い重量で追い込むことができます。
グリップの種類が豊富
ラットプルダウンはさまざまなアタッチメントが用意されているので、狙う部位によって変えることができますし、違った刺激を与えることができます。
- MAGグリップ
- ストレートバー
- パラレルグリップバー
- クローズドグリップ
部位による鍛えわけをしやすい
ラットプルダウンは骨盤を固定できる分、広背筋下部を刺激しやすいというメリットがあります。
また、座る位置を前後に変化させることができますので、前の方に座れば真上から引く形になるので、大円筋、広背筋メインで鍛えられますし、後ろの方に座れば、ななめ前から引く形になりますので、僧帽筋、広背筋、三角筋後部に刺激が入りやすくなります。
筋繊維の動員が少ない
両手、両足、お尻の5点が固定されているラットプルダウンはモーターユニット(1本の神経が支配する筋繊維の束)の動員が少ないのが特徴です。
マシントレーニングとフリーウェイトトレーニングにおいて、フリーウェイトを優先してやれ!と言われる理由の代表格がこの理由なのです。
グリップによる鍛えわけ
より効果的に筋肉に刺激を与えるためにも、グリップの種類とそれらの特徴をおさえて、鍛えていきましょう!
グリップは大きく分けて3つあります。
オーバーグリップ、アンダーグリップ、パラレルグリップの3つです。
また、これに加えてグリップ幅によってもバリエーションが変わってきます。
グリップ幅はナローかワイド、もしくはその中間です。
オーバーグリップの特徴
オーバーグリップは、肩関節が内旋することで、広背筋のストレッチは弱く、収縮は強くなります。
オーバーグリップでは、横もしくは斜め方向に動かしやすくなるので、僧帽筋や菱形筋を鍛えるのに有効です。
アンダーグリップの特徴
アンダーグリップでは、肩関節が外旋するため、広背筋のストレッチは強く、収縮は弱くなります。
パラレルグリップの特徴
パラレルグリップは山本義徳さんが強くおすすめする握り方!
オーバーグリップとアンダーグリップの中間である パラレルグリップはオーバーグリップのように肩後部を使いにくく、アンダーグリップのように上腕二頭筋も使いにくくなるので、広背筋のみにダイレクトに効かせることができます。
パラレルかつワイドグリップが1番おすすめです!
ワイドグリップの特徴
ワイドグリップでは、ヒジが曲がる角度が小さくなるため、上腕二頭筋を使いにくくなります。
ナローグリップの特徴
ナローグリップはワイドグリップの逆で、ヒジが曲がる角度が小さくなるため、上腕二頭筋を使いやすくなります。
また、ナローグリップは体幹と上腕骨が離れるため、広背筋、大円筋がストレッチしやすくなります。
広背筋をメインに狙う場合は、グリップ幅として、肩幅より拳一つ分広いオーバーグリップが最も効果的だという測定結果があります。(大円筋狙いならさらに広く)
また、オーバーグリップでもサムレスグリップ(親指を他の4本の指と同じ方向に持つ握り方)で握りましょう!
この方法だと、上腕二頭筋を使いにくく、広背筋に効かせやすくなります。
結論
懸垂とラットプルダウンのどちらが筋肥大に効果的なのか?についてですが、
モーターユニット(1本の神経が支配する筋繊維の束)の動員数を考えると懸垂が優位であると考えています。
ですが、懸垂はフォーム習得が難しく、中〜上級者向けの種目でもあるため、筋肥大効果が高いからといって初心者がすぐに取り組める種目ではないことも事実です。
基本的な考え方として、初心者や女性はラットプルダウン、中〜上級者は懸垂を優先すれば良いです。
懸垂ができる人は、懸垂をベースに行い、力が出なくなってきたら、ラットプルダウンで追い込んだり、効かせる、収縮を重視してボリュームを稼ぐ戦略がおすすめです。