筋トレにおいて、ネガティブ動作で効かせることは重要なテクニックの1つだと考えています。
なぜなら、ネガティブ動作は筋力を伸ばすのに最適なテクニックの1つだからです。
筋力を伸ばすのに有効なネガティブトレーニングですが、部位によってはネガティブ動作を行いやすい部位もあれば、行いにくい部位もあります。
大胸筋はネガティブ動作を行いにくい部位の一つです。
大胸筋のトレーニングにおいては、1人で高重量のネガティブトレーニングを行いにくいという欠点があります。
例えば、2~3人でトレーニングをしていて、ベンチプレスだとパートナーがいれば挙上時にサポートを受けて持ち上げて、下ろす時は自力で。みたいなことが可能ですよね?
これが1人だとなかなか難しいんです。
私自身、過去に大胸筋の筋力が伸び悩んでいた時期がありました。
どうにかして、1人で高重量のネガティヴトレーニングができないものかと、悩んでいる時。
そんな悩みを解決した種目が「ディップス」です。
ディップスは、1人でネガティブで効かせたい時に有効な種目なんです。
今回はそんな大胸筋のネガティブ動作に適した種目「ディップス」について解説していきます。
筋肉が伸びながら力を発揮する動作のこと。ベンチプレスならバーベルを下ろしている時、スクワットならしゃがみ込む動作、ダンベルカールならダンベルを下ろす時に、腕を伸ばしていく動作のことを指します。
反対にポジティブ動作というものもあります。
これは、筋肉を収縮させながら、力を発揮する動作のことです。ベンチプレスでバーベルを押し上げる動作、スクワットでは立ち上がる時の動作のことを指します。
- 筋トレ初心者の方
- 大胸筋を効率よく大きくしたい
- 大胸筋がうまく発達しない
- 大胸筋に効くトレーニング種目を知りたい
- ベンチプレスの重量を伸ばしたい
- 大胸筋の筋力を伸ばしたい
Contents
ネガティブ動作の特徴
- 筋肉に対しての物理的刺激(メカニカルストレス)が強い
- ポジティブ動作よりも強い筋出力を出せる
ネガティブ動作の特徴をイメージしやすいように例えると、山登りや階段の上り下りなどをイメージしてみてください、体感的には上り(ポジティブ動作)のほうが辛くて、下り(ネガティヴ動作)の方が楽というイメージですよね?
ですが、実際には下り(ネガティブ動作)の方が後々の筋肉へのダメージは大きいんです。
その理由としては、楽にできる分、何回もできてしまうことで、気づかないうちに筋肉へのダメージの量が増えてしまうということと、
筋肉が引き伸ばされながら力を発揮することで、ストレッチ刺激が強くなり、筋肉痛を引き起こしやすくなるといった理由があります。(ストレッチ刺激は、収縮による刺激よりも筋肉へのダメージが大きいと言われています。)
ネガティブ動作の有効性について
ネガティブ動作では、ポジティブ動作の1.2〜1.4倍の力が出せると言われています。
例えば、ベンチプレスで持ち上げるのが100kgが最大という人でも、下ろす動作は120〜140kgでできるということです。
ポジティブ動作よりも高重量が扱えるという点で筋肥大、筋力増強に効果的であるといえます。
高重量が扱えるという点でケガしやすいのでは?と心配になる方もいるかもせれません。
ですが、心配いりません。
2003年に高齢者を対象に行われた研究(※1)では、ネガティヴトレーニングによって安全に筋力を高められたという結果が出ています。
また、ネガティヴトレーニングはスポーツ競技者のケガを防ぐという研究結果(※2,※3)もでています。
(※1: The positive effects of negative work: increased muscle strength and decreased fall risk in a frail elderly population. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2003 May;58(5):M419-24.)
(※2:Eccentric exercise: mechanisms and effects when used as training regime or training adjunct. J Appl Physiol (1985). 2014 Jun 1;116(11):1446-54. doi: 10.1152/japplphysiol.00146.2013. Epub 2014 Feb 6.)
(※3:The effects of eccentric versus concentric resistance training on muscle strength and mass in healthy adults: a systematic review with meta-analysis. Br J Sports Med. 2009 Aug;43(8):556-68. doi: 10.1136/bjsm.2008.051417. Epub 2008 Nov 3.)
ディップスで鍛えられる筋肉
- 大胸筋中部、下部
- 三角筋前部
- 前鋸筋
- 上腕三頭筋
ディップスのメリット•デメリット
ネガティブ動作がやりやすい
ディップスのメリットはとにかくネガティブ動作がやりやすい点です。
ベンチプレスは持ち上げられなくなったらそこで終了ですが、ディップスでは持ち上げられなくなってもそこからネガティブ動作だけを行うことでさらに追い込むことができるんです!
具体的にどう行うかというと、通常のディップスを行なって、もう持ち上げられないと思ったら、持ち上げる時だけ自分の足で”ジャンプ”するだけ!
後は下ろす時に自力でゆっくり下ろしていくだけです。
自重で10回以上できるようになったら、ディッピングベルトを使って加重していきましょう!
プレートやダンベルをどんどん追加して重くしていけば、高重量を扱うことができます。
自力で持ち上げられない重量でも、ネガティブ動作のみを行う「1人ネガティブトレーニング」でガンガン筋力を伸ばしていきましょう!
大胸筋の下部を鍛えるのに有効
大胸筋下部を鍛えるのに、デクラインベンチとかが無いジムでディップスは有効です。
ディップスで大胸筋の下部の膨らみと輪郭を整えましょう!
ディップスはベンチプレスよりも安全
ディップスはケガをしにくい種目です。
その理由は腕と体の距離にあって、
ディップスはベンチプレスよりも腕と体の距離が近く、肩を痛めにくい動作になります。
筋繊維の動員が多い
バーとの接点が両手だけなので、体勢が不安定になりやすく、より多くの筋繊維を働かせることができます。
回復に時間がかかる
ネガティブトレーニングは、ポジティブに比べてダメージが大きいため、回復が遅くなります。筋力を伸ばすためには仕方ない犠牲ともいえます。トレーニング中~上級者になれば回復速度は上がりますので体と相談しながら取り入れていけば良いですよ。
ディップスのやり方
- ディップスバーを両手で掴む
- 肘を真っ直ぐに体を浮かしてバランスをとる
- やや前傾姿勢になり、足は軽く曲げる
- ゆっくり息を吐きながら肘を90度+少々ほど曲げる
- 限界まで曲がったら息を吸いながら上体を戻す
状態を下ろしていく深さはひじの角度が、直角より少し深いくらいでOKです。
肩がオーバーストレッチになってしまうので、極端に深くは下さないようにしましょう。
上体の角度が重要です。
上体の角度が垂直だと、上腕三頭筋に効き、
前傾させると大胸筋に効きやすくなります。
足を組んで、ひざを後ろに持っていくと自然に前傾しますので、さらに肩を前に持っていくとより大胸筋に効くようになります。
初心者の方は、まず自重で10回を目標にしましょう。
自重で10回できるようになったら、ディッピングベルトで重りをぶら下げて5〜6回を目指します。
また、筋力を特に伸ばしていきたいという人には、ネガティブオンリーのディップスがおすすめです。
自分では1〜2回しか持ち上げられない重さで、ジャンプして上がり、下ろす時にゆっくり耐えて下ろすことで神経系の発達させ、筋力を向上させることができます。
セット数は2〜3セットで十分でしょう。
まとめ
ベンチプレスで思うように重量が伸びていかないなど、筋力を伸ばしていくのにネガティブトレーニングは非常に有効です。
また、大胸筋のトレーニングでは1人ネガティブを行える種目がディップスくらいなので、このネガティブディップスをどんどん取り入れてみてほしいです。
ジムではディップスを行える器具は不人気(?)で比較的空いてることも多いです。
パワーラックやベンチ台が空いてない時はだまされたと思ってやってみてはどうでしょう?